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新しい視点で学校教育を考える 日本学校教育実践学会

                                                         

学会についてSociety

日本学校教育実践学会は、幼稚園・小学校・中学校・高等学校等における実践を基盤とした教育研究を行い,学校教育の推進・強化のため,学校現場の教員,大学の研究者,学生等,会員の皆さんと相互の連携を重視します。教育の理論のみにとらわれず,理論と実践の往還をはかり,学校現場での実践をもとに活発な議論を行い,より良い教育をすすめることを目的としています。 学校の教師,大学の研究者,大学生・大学院生等,学校教育に関わる全ての方々の積極的な参加をお待ちしています。

活動報告写真      


学会長ご挨拶
        多様な専門領域から学校教育について議論できる学会に
      日本学校教育実践学会 会長 久保 良宏

 学校教育にかかわる学会が数多くある中で,諸先輩方のご尽力と会員の皆さまのご協力のもとで,本学会もようやく全国規模の学術団体として活動することができるようになりました。
 ご承知のように,本学会は様々な専門領域の会員の皆さまで構成されております。ここでは学校種や教科の違いなどがありますが,本学会は多様な専門領域から学校教育の課題について共有し,学級経営,学級活動,特別活動,特別支援,幼児教育,さらに教育心理学,教育方法学,教師教育学等々の学問領域を含め,様々な視点から会員の皆さまと議論ができる場であると考えております。
 前会長の吉田正生先生は,「協働活動で魅力ある学会に」ということをスローガンに掲げておられましたが,この点も含めて,本学会は他の学会とは一味違った活動ができるのではないかと考えております。例えば,「論理的思考」を身につけさせるというと数学教育が頭に浮かびますが,これは国語教育をはじめ,あらゆる教科で検討しなければならないことであり,また「リテラシー」に着目すれば,これは教科教育だけでなく,学級活動等々の様々な学校活動において議論される内容であると思います。
 ところでコロナ禍において,私たちはこれまでに経験したことのないような行動の制約を求められましたが,一方で,オンラインによる情報交換の有効性について理解を深めることができました。全国規模の学会となり,会員の皆さまの生活地域の違いを考えると,対面だけでなくZoomなどを含めた様々な形態での議論の場も検討していく必要があると思います。学会活動の新たな着眼点を模索しながら,全国のたくさんの先生方と議論できる学会を目指していきたいと考えております。

学会の歩み
 日本学校教育実践学会の前身は,1996年5月28日,北海道教育大学旭川校において,大学,附属幼稚園,附属小学校,附属中学校の関係者が一堂に会し,大学と附属学校園および地域の教育実践現場が文字通り一体となって教育・研究協力を重ねて,学校の「実践教育」の研究に邁進していくことを目的に,当初「北海道教育大学旭川実践教育学会」として設立されたものである。「北海道教育大学旭川校90周年記念誌(2013)」によれば,学会設立の趣旨を「教員養成大学と教育現場の密接な連携協力」「教員養成大学の地域教育への積極的な地域貢献」「教育の現代的な問題群の研究と先進的かつ有効な教育実践の推進」とし,年1回の研究大会と学会誌「旭川実践教育研究」を発刊するというものであった。初代会長の本間謙二氏は,学会名と学会誌に「旭川」という地名を冠した経緯を創刊号の中で次のように述べている。『教育の地域特性を大切にする心と旭川の地から世界に向けて「教育を発信する」という気負った心意気が含まれるように感じられます。今後主流となるであろう少人数教育を永年実践してきた経験は,この地,いや,北海道全体の教育界の財産として全国の教育界に大きな刺激を与えることができるでありましょう』。
 この崇高な理念は,その後十年以上にわたり,北海道内の各種学校の教育現場や大学をはじめとする教育・研究機関において脈々と受け継がれ,多くの成果を残したが,発足後十余年という歳月を経た頃より,いくつかの課題が浮かび上がった。それは,学校教育を取り巻く状況が発足当時と大きく様変わりしてきたことと会員数の減少,そして「旭川」という地名を冠することが今日に至ってこれを顧みると,外部の人に対して窮屈さと狭小さを感じさせるものと映り,排他的な意味を含む言葉として作用するのではないかという懸念であった。こうしたことから,2012年頃より評議員会で議論を重ね,2016年の研究大会の総会で提案・承認され,学会の名称が「日本学校教育実践学会」に改称される運びとなった。また,学会名の変更とともに,会則の改訂,学会誌名の変更,投稿規定の改訂,組織の抜本的な見直し,そして日本学術会議協力学術研究団体への登録申請など,8年以上の長きにわたる学会改革の苦闘の結果,2020年3月26日に日本学術会議協力学術研究団体に指定され,今日に至っている。

日本学校教育実践学会 設立趣意書
        日本学校教育実践学会の設立に向けて
 教育とは,文字通り教え育てることであり,教え育てるとは,将来を担う人,すなわち次世代の子供たちに,現在までに培われた文化や伝統を継承していくことである。こうした営みが綿々と受け継がれることにより,われわれ人間は進歩し発展してきたのである。教育は家庭や地域をはじめ,現代のあらゆる社会の場面で,重要でかつ必要不可欠な営みであるが,近年ではとりわけ諸学校で行われる学校教育の果たす役割が増大している。
 それでは学校教育の役割とは何であろうか。文部科学省によれば,「人間として,また家族の一員,社会の一員として,更には国民として共通に身に付けるべき基礎・基本を習得した上で,生徒が各自の興味・関心,能力・適性,進路等に応じて選択した分野の基礎的能力を習得し,その後の学習や職業・社会生活の基盤を形成すること」とされ,これは換言すれば,現代において人間が人間として生きていくために必要不可欠な人生のプロセスということができる。人間のその後の人生を左右するほどの大きな営みが学校教育という制度であると言えよう。そしてこの学校教育を担っているのが教員である。
 一方,その将来の教員を養成するのは,大学をはじめとする教員養成機関であるが,大学は一義的には研究と教育を行う高等教育の場であり,依然として研究機関としての役割が色濃く残っている。これは教員養成を主たる目的とする教員養成大学や教育学部においても同様である。 近年,教職大学院の設置や学部における「教職実践演習」の開講など,学校現場を意識した潮流があるとはいえ,ともすれば教員養成機関である大学と幼・小・中・高等学校の学校現場との乖離,教育研究者である大学教員と教育実践者である現場教師の意識の差などが懸念される。また,へき地教育を含め,教育は地域社会と密接にかかわっており,教育実習の主たる担い手である大学の附属学校園との連携も重要である。
 このような状況の中で,本学会の前身である「北海道教育大学旭川実践教育学会」は,「教員養成大学と教育現場との密接な連携協力」,「教育の現代的な問題群の研究と先進的かつ有効な教育実践の推進」を目指し,既に20年にわたり活動を行ってきた。会員は大学教員と学校現場の教師を中心に百余名おり,これまで毎年研究発表会を行い,学会誌を発刊し,北海道はもとより本州からも研究者や実践者を迎え,教育講演会を開催するなど,北海道教育大学旭川校を中心として学校現場に軸足を置いた学会として,積極的な教育・研究活動を行っている。
 しかしながら,ここ数年,学会の評議員会の中で,「大学」名や「旭川」という地名を冠することで,外部に対して窮屈さと狭小さを感じさせ,排他的な閉じた学会との印象が強いとの議論がなされ,学会発足20年を契機に,学会活動をより充実したものとするために,平成27年度総会での承認を経て,学会の会則,組織の一新を図り,全国規模の広域的な人材を擁する学会として新たな展開をすべく大きく舵を切ることとなった。
 折しも,多様化し複雑化する21世紀の社会においては,未来を背負って立つ健全で才気溢れる児童・生徒を育成することが,わが国の発展のために極めて重要でありかつ喫緊の課題でもあろう。大学の教育研究者と学校現場の教育実践者である教師が,学校教育の目的に呼応して同じ方向を向き,より密接な関係性のもとに協力することで,「教育の現代的な問題群の研究と先進的かつ有効な教育実践の推進」が着実に図られるものと言えよう。
 こうした状況を踏まえ,以上のような認識に立ち,学校教育における実践研究のより一層の進展を願い,「日本学校教育実践学会」を設立する運びとなった。当学会の設立と発展を切に願うものである。

                         平成28年10月吉日  
発起人
安藤秀俊 石井俊行 伊藤一男 大久保賢一 大西有 小原美枝 笠原究 片山晴夫 川邊淳子 金児正史 久保良宏 黒谷和志 高阪将人 坂井誠亮 佐見由紀子 芝木美沙子 菅野道雄 杉江光 須田康之 苗川博史 名達英詔 芳賀均 萩野敦子 久永靖史 平松和彦 福田典子 藤川聡 本間謙二 柗元新一郎 籾岡宏成 吉田正生                      (2016年度役員一同 五十音順 敬称略) 

日本学校教育実践学会会則

第1条(名称)本会は日本学校教育実践学会と称する。当学会の英文名はJapan Association for Research in School  Education Practices(JARSEP)と表記する。
第2条(目的)本会は学校教育に関わる実践を基盤とした教育研究を行い,その振興と普及及び会員相互の連携を図ることを目的とする。
第3条(事業)本会はその目的を達成するために下記の事業を行う。
 1 研究大会及び総会の開催                          
 2 学会誌「学校教育実践ジャーナル」の発行  
 3 国内外の関係学術団体との連繋
 4 その他必要な事業の実施              
第4条(事務局)本会の事務局は北海道教育大学旭川校内(旭川市北門町9丁目)に置く。
第5条(事業年度)本会の事業年度は,毎年4月1日に始まり3月31日に終わる。
第6条(運営)本会の事業は会費その他をもって運営する。             
第7条(会員)本会は正会員,学生会員および賛助会員の3種の会員によって構成される。  
 1 正会員は,本会の趣旨に賛同して入会した個人とし,学会誌の配布を受けるほか,研究大会および学会誌において業績の発表ができる。
 2 学生会員は,本会の趣旨に賛同する大学および大学院の在学者とし,現職教員は含まない。学会誌の配布を受けるほか,研究大会および学会誌において業績の発表ができる。
 3 賛助会員は,本会の事業を賛助するために入会した団体,個人とし,学会誌の配布を受ける。
第8条(会費)会員は次の会費を納入する。本会の会計年度は4月から翌年3月までとする。
 1 正会員  年額       3,000円                 
 2 学生会員 年額       1,500円
 3 賛助会員 年額  1口  10,000円
第9条(役員)本会に次の役員を置く。   
 1 会長     1名     
 2 副会長    1名  
 3 幹事長    1名
 4 編集委員長  1名 
 5 監査員    2名 
 6 評議員     30名程度
 7 顧問      若干名 
第10条(役員の任務)      
 1 会長は本会の代表として,会務を総括し,評議員会を招集する。  
 2 副会長は会長を補佐し,必要に応じて会長の代行をする。
 3 役員は本会の重要な会務を審議する。 
 4 幹事長は事務局として,評議員の中から幹事若干名を選び,会務(庶務,会計,名簿管理及び研究大会等)を処理する。
 5 編集委員長は編集委員若干名を選び,編集委員会を置き,学会誌の編集を総括する。
 6 監査員は業務および会計を監査し,総会に報告する。
 7 顧問は本会の計画運営について助言および協力をする。
第11条(役員の選出,任期)  
 1 会長,副会長,監査員は評議員会において選出し,総会の承認を得る。
   評議員は正会員より選出する。
   幹事長,編集委員長および顧問は会長が選び,委嘱する。
 2 役員の任期は2年とし,再任を妨げない。
第12条(編集委員会)編集委員会は論文審査(査読)委員を委嘱し,投稿論文の審査結果に基づき掲載の可否を決め、学会誌の編集にあたる。
第13条(会議)会議は総会及び評議員会とする。
 1 総会は毎年1回会長が招集し,役員の承認,予算の決定,決算の承認,会則の変更等,本会の運営にかかわる重要事項を議決する。総会の決定は出席者の過半数の賛成を必要とする。
 2 評議員会は会長,副会長,幹事長,編集委員長,監査員及び評議員をもって構成し,会長が招集する。評議員会は役員,予算,決算,会則の変更等,その他重要な会務を審議する。顧問は必要に応じて,評議員会に参加し,助言および協力を行う。

附則 この会則は平成28年12月3日から施行する。
附則 平成31年3月18日,一部改訂。

会則のpdfはこちら 日本学校教育実践学会会則

組織・役員

2023年度~
役職 名前
  会長 久保良宏(北海道教育大学 名誉教授)
  副会長 金児正史(鳴門教育大学)
  幹事長 坂井誠亮(北海道教育大学)
編集委員長 藤川聡(北海道教育大学)
  監査員 大西有(茨城大学),高阪将人(福井大学)
  評議員 安東茂樹(芦屋大学),安藤秀俊(北海道教育大学),石井俊行(奈良教育大学),岩野清美(和歌山大学),大久保賢一(畿央大学),小原美枝(神奈川県麻生総合高等学校),笠原究(北海道教育大学)川邊淳子(北海道教育大学),佐見由紀子(東京学芸大学),菅野道雄(東海学院大学),須田康之(兵庫教育大学),高須雄一(聖マリアンナ医科大学),谷本直美(桐蔭横浜大学),苗川 博史(元東京農業大学),名達英詔(十文字学園女子大学),芳賀均(北海道教育大学),萩野敦子(琉球大学),橋本美彦(中部大学),久永靖史(共立女子中学高等学校),平松和彦(元福山市立大学),福田典子(信州大学),柗元新一郎(静岡大学),古屋光一(上越教育大学),渡邊耕二(宮崎国際大学)
   顧問 本間謙二,伊藤一男(北海道教育大学)

※2024年度(2024.4.1)以降の役員・評議員などの組織については,2023年12月17日の総会において決定されており,上記とは異なりますので,「学校教育実践ジャーナル(第7巻)」の「会務報告(43ページ)」をご覧下さい。

歴代会長

本間謙二 氏 :平成8年5月29日~平成16年3月31日
福井昌樹 氏 :平成16年4月1日~平成19年3月31日
森田 寛 氏 :平成19年4月1日~平成24年3月31日
片山晴夫 氏 :平成24年4月1日~平成28年3月31日
伊藤一男 氏 :平成28年4月1日~平成31年3月31日
吉田正生 氏 :平成31年4月1日~令和 5年3月31日
久保良宏 氏 :令和 5年4月1日~


日本学校教育実践学会 事務局

〒070-8621
北海道旭川市北門町9丁目
北海道教育大学旭川校

坂井誠亮
E-Mail:jarsep@jarsep.jp